Django’s Guitar Style

楽器とピッキング

ジャンゴは、戦後から亡くなる1953年までの実験的な電気ギター使用時を除き、アコースティック・ギターで、ジャズを演奏しました。1930年代最初までは、メーカーが不明なギターをいくつか使用していましたが、1935年頃から、セルマー社のマカフェリ・モデルを使い始めました。その楽器の特徴は、ボディの中にもうひとつ共鳴箱がある構造と大きなサウンドホールです。その後、1938年頃からは同じセルマー社のジャズ・モデルを使いました。これは、ジャンゴのトレードマークとなった、小さいサウンドホールと14インチジョイントの長いネックを持った楽器で、一般にセルマー・ギターと呼ばれます。1940年からは、シリアルナンバーが503の同型のギターを使用しています。この楽器は現在、遺族の好意でフランス楽器博物館に収められています。セルマー/マカフェリ・ギターは弾いてみると分かりますが、高音域まで安定したサウンドを出すことができ、ジャンゴ曰く、「ピアノのよう」です。

PAの無かった時代が原因か、ジプシーの血がそうさせるのかは分かりませんが、ジャンゴのピッキングは非常に強いようです。そして、速く細かいフレーズを弾く必要が無い限り、ダウン・ピッキングのみを使い、ブリッジ近くで、弦に押しつけるようなピッキングをしました。しかし、左手のポジションが12フレット以上になる場合などは、右手の位置は若干ネック寄りに寄せて、サウンドをまろやかにしました。使用したピックは、一説によると厚さが5ミリもあったと言われています。

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