Django’s Guitar Style

リズムギター

ジプシー・ジャズの特徴に、ギターで刻んだ4ビートのりの2ビートのリズムがあります。1930年頃のアメリカのジャズでも、それまでのバンジョーに代わって、アコースティック・ギターがリズムとコードを演出する役目を担いましたが、アメリカのそれではドラムスがリズム上重要な役割を持ちましたので、ギターでリズムにアクセントを付けることは稀でした。また、コードの方はピアノの方が一枚上手でした。ジャンゴのホット・クラブ・スタイルのリズムギターは、アメリカではドラムやピアノが担当する部分までカバーした独特なサウンドを出します。ジャンゴの場合は、不自由な左手の指を逆手にとって、独自のコードフォームを編み出し、それがバンドのサウンドに厚みを付けました。ボンピングと呼ばれるベースラインと裏拍のリズムコードを同時に弾くようなテクニック、つまりストライド・ピアノの左手のようなプレイも時たま行い、ピアノでよくやるリズムを出さないコードのトレモロも効果的に挿入しました。

ジャンゴのリズムギターでのプレイは、ピアノやビッグバンドのホーンセクションを良く研究したのだと感じます。ジャンゴは、縛りのかかった弦楽器だけのコンボで、アメリカのフルバンドをフェイクしようとしたのだと思います。結果的にそれが独特のサウンドを持ったホット・クラブ・スタイルとなったという考察はいかがでしょうか。

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